4月、子ども達は期待を胸に学校へとやってきます。
「新しい担任の先生は誰かな?」「どんなクラスになるかな?」そんなワクワクした思いがある一方で、不安を胸に抱えてくる子どももいるのです。
今回の記事では、子どもの不安の原因やそれを解消するための取り組みについて話をしていきます。
安心感と規律の二つが揃えば、学校生活が子どもにとっても、教師にとってもよいものになるでしょう。
中堅、ベテラン教師の方々は当たり前にしていることかもしれませんが、今一度、確認の機会としていただけたら幸いです。
子ども達の不安の原因となるもの
- 子ども同士、及び教師との人間関係への不安
- 子ども同士、及び教師との価値観のズレ
4月にはこれらのズレや不安を持って子ども達は学校へやってきます。
そのズレや不安を最初の3日間でできる限り解消することを目指しましょう。
始まりは学級開きから
学級開きを含む子どもたちとの出会い、最初の3日間は「黄金の3日間」と称されます。
ここでの出会いや方向性の決定がこれからの学校生活を形作る基本になるからです。
それは、学級の規律を作る、守るという生徒指導的な側面もありますが、子どもたちが安心して過ごすためにはこのルール作りが大切です。
ルールづくりで伝えたいことは以下のとおりです。
1.教師の価値観の共有
子どもたちと長い時間をともに過ごす教師。その教師がどのような人物か、子どもたちが分かっている場合は安心感を抱きやすいのですが、新しく学校に来た先生だと特に不安になりやすいものです。
そこで、私は学級開きの際には、毎回以下のことを子どもたちに伝えています。
教師が大切にしたいこと、思い(学校目標に沿ったもの)
- 学校目標が確かな学力であれば、学習の力をつけること
- 学校目標が豊かな心であれば、心を大切にすること
学校目標は学校全体で目指す子どもを育てる目標、すなわち学校におけるゴールです。
この学校目標を達成するために各学級はそれぞれの目標を掲げ、毎日の生活をしていくことになります。
そのためには、教師がこの学校でどのような振る舞いをしようとしているのか、教師として、また個人として大切にしていることを子どもたちに伝えます。
この指導のためには、教員間における学校目標の共通認識が必要です。それも、職員向けのものと子ども向けのもの、その両方を理解して置く必要があります。
子ども達に求めるもの
- 自分の力を伸ばすこと
- 相手を大切にすること
自分の学級において大切にしたいと考えているのは大きく2つです。
「自分の力を伸ばすこと」では、挑戦すること、諦めないこと、自分の力を信じること。
「相手を大切にすること」では、相手の体と心を大切にすること、相手の力を信じること。
学級において大切にしたいのは、学級目標ですがその達成には子どもたちの成長が必須であるとともに、クラス全員の協力が不可欠です。そのため、教師が一年間を通して子どもたちに期待することを伝えておきます。
その内容が高すぎたり低すぎたりすると子どもの意欲というものに悪影響を与えることがありますので、この段階では具体的な内容については触れず、学年や子どもたちの発達段階に合わせて年間を通して子どもたちに身につけてほしい姿勢や態度についての話を中心に行います。
先生が本気で叱るとき
- 相手の体と心を傷つけること
- 勉強しようとする人の邪魔をすること
- 何度も同じことを注意されること
学校生活の中で褒めることと同様に、叱ることもたくさんあるでしょう。
しかし、その叱ることの中でも特に厳しく叱る部分、許さない部分を明確にしておくことが大切です。
どうして先生が叱るのか、それが子どもたちの中で共通認識を持っていることで、理不尽に叱っているわけではないことを子どもたちに理解してもらうことができ、安定した学級の風土を作ることに繋がります。
逆に褒めるポイントを挙げておくのもよいでしょう。
子どもたちに、褒めるポイント「下学年に親切にした」「クラス全体のことを考えて行動した」「お手本となる行動をした」「最後まで粘り強く取り組んだ」などを明確にしておくことも良いかと思います。
2.学級のルールで気をつけたい〜暗黙のルール〜
学級のルールを作る際に気をつけたいことは「暗黙のルール」が存在しているかの確認です。
暗黙のルールが存在しているとしていると不登校の児童や、特別な支援が必要な児童にとっての負担になることがあります。
私も過去に不登校をしていたのですが、久しぶりに学校に行った際に、学級のルールを知らずに破ってしまったことで、教師に叱られたことを覚えています。
「知らなくても、ルールはルール」という言葉に対して、子どもながらに理不尽に感じたことを覚えています。
そのため、学級のルールについては、学級全体で確認すること、全員の認識を促すことが必要です。
ポジティブなルールの示し方
ルールの表現方法としては、禁止事項ではなく、それぞれの場所における望ましい行動を一覧にするという方法が考えられます。
教室での過ごし方や5分休みでの過ごし方、廊下の歩き方など、それぞれの項目で良い方法を例示して学級の掲示とする方法です。
例えば、5分休みでは「教科書や筆箱の準備をする」、「静かにトイレに行く」、「準備が終わったら座って待っておく」などです。
この掲示についても、子どもたちと一緒に考えてまとめることによって、子どもたちに自身によりよい取り組みを考えさせるきっかけ作りにもなるでしょう。
終わりに
4月の出会い、それは学校生活の舵取りを行うための重要な時間です。
進学・進級した希望と不安が入り交じるこの時期に、子どもたちの希望を伸ばし、不安を減らすためにできることを前もって準備しておきましょう。
子どもたちが出会う大人の代表として、そして教育の専門家として、子どもたちの成長のためにできることを、これからも一緒に考えていきましょう。
ハートスクールの取り組み
本コミュニティの主体は、不登校やうつ病など、心のケアが必要な子ども達に対する関わり方や、不登校の未然防止についての知見を深めるための交流を目的としたDiscordサーバーです。
学校における児童・生徒に関する悩みや、指導方法、経験などの交流の場としての活用を行っています。
是非一緒に知恵を出し合いながら活動してみませんか?
興味を持たれた方は、サイトトップにある、代表X(旧Twittet)や、サイトのお問い合わせフォームにご連絡ください。
一緒に光を子ども達に届けていきましょう!