生徒指導と聞いて、どのようなイメージを持たれていますか?
一般的に思い浮かびやすいのは、制服や頭髪の検査といった、教師が児童生徒に対して注意する場面でしょうか。
生徒指導には大きく分けて2つに分けることができ、「消極的生徒指導」「積極的生徒指導」があります。
注意するというのは、この中の「消極的生徒指導」に当たります。しかし、そのような指導だけが生徒指導ではありません。
生徒指導とは学習指導と並んで学校教育において重要な意味を持つものでありますので、今回は生徒指導の定義や目的を確認してみましょう。
生徒指導の定義と目的
生徒指導の定義
生徒指導とは、児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う。
生徒指導提要(令和4年)
生徒指導の目的
生徒指導は、児童生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支えると同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支えることを目的とする。
生徒指導提要(令和4年)
生徒指導の定義や目的から言えること
定義や目的から照らし合わせると、以下のようなことが必要になることが分かります。
- 生徒指導の結果は、学校の内外を問わず発揮されるもの
- すべての教育活動の中で実施される
- 児童生徒の人格や個性が尊重される
- 児童生徒自ら改善と成長を繰り返し、自己実現を目指していく
- 社会生活に必要な資質・能力を獲得する
- 自己の幸福を追求する
ここに挙げられている通り、「子どもだから」と接するのではなく、一人ひとりが持つ人格や個性を認め、子ども達自身に成長を促していくことが教育の過程で求められています。
それに伴い「生徒指導提要」では、子どもの視点に立った支援や指導が必要であることが示されており、これらの目標を達成する過程において「自己指導能力」と言われる力を獲得することが重要とされています。
自己指導能力とは
自己指導能力とは、「自分は何をしたいのか、何をするべきか」という問題に対して、主体的に問題や課題を発見し、目標を選択・設定して、目標の達成のために自ら動き、他者を尊重しながら決定することができる力を指します。
それを細分化したものが以下の通りです。
- 主体的に問題や課題を発見する力
- 目標を選択・設定する力
- 自発的に動く力
- 自律的に調整・動く力
- 他者の主体性を尊重する力
- 決断する力
- 実行する力
これらの力が統合したものを「自己指導能力」といいます。
この自己指導能力を子ども達が獲得できるようにすることが、生徒指導を行う上での要点となっていくのです。
「自己指導能力」を育成するために必要な視点
この内容の主体は子どもです。つまり、一般的な生徒指導でイメージされるような教師による画一的な教え込みといった指導だけではこれらの目標に到達することはできません。
そのために、生徒指導においては、以下の視点を持って取り組むことが必要になってきます。
- 自己存在感の感受
「自分も一人の人間として大切にされている」 - 共感的な人間関係の育成
認め合い・励まし合い・支え合える学習集団 - 自己決定の場の提供
自ら考え、選択肢、決定、発表する、制作する等の体験 - 安全・安心な風土の醸成
個性や多様性を認め合える風土づくり、いじめ、暴力などを許さない環境
子どもたちを注意するだけではなく、子どもたち一人ひとりが自己や周囲の人を大切にしながら学校生活を送ることができるよう環境を整えたり、互いに認め合うことができる場を提供したりすることも、また生徒指導の一環になるということです。
日常的な環境、子どもの学習、子ども同士の関わり合い、それらすべてが生徒指導になるということを忘れないでおきましょう。
おわりに
今回記載したのは、生徒指導の基本にあたる部分です。
この生徒指導は学校の教科の学習、そして行事など日常生活の様々な場面で登場してきます。今回確認した生徒指導の定義や目的を元にして、どのように自己指導能力を伸ばしていくのか、学校全体を通して考えていくことが必要です。
そして、生徒指導を行っていくにあたってのポイントは多岐にわたります。
「発達支持的生徒指導」「チーム学校」「いじめ」「不登校」「マイノリティ」「インターネット」など様々なキーワードが生徒指導と関わってくるのですが、これらについては、随時まとめていこうと考えておりますので、更新をお待ち下さい。
ハートスクールの取り組み
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